ピアノ打ち世界記録

 高橋名人の16連射に挑戦−。そんな趣向で作られたハドソンの連射測定器「シュウォッチ」にハマったのは高校3年生の冬だったか。受験勉強の合間に、ピアノ打ちをして気分転換を図っていたのである。実際に買ったのは発売当初の小学6年生の頃。当時は高橋名人と同じ痙攣打ちで12連射ぐらいだったが、こすり打ちとか定規打ちなどのインチキっぽいやり方で20連打以上できることが分かり、すぐにつまらなくなった。

 それから5年の月日が流れ、部屋の片隅にあったシュウォッチを再び手にした私は、ひたすらピアノ打ちに没頭した。初めは10秒間に120回ぐらいの記録しかできなかったが、何度もやってみると、どんどん記録が伸びていく。140、150を超えるようになると、「いったい他の人はどれぐらいできるのだろうか」と思うようになった。たしか説明書かコロコロコミックには、ピアノ打ちの記録は14連射などと書いてあったような記憶があったので、すでに日本記録いや世界記録なのではないかと考えた。しかし、上には上がいるだろうから、高橋名人と同じ16連射を超えれば世界記録ということにした。

 ピアノ打ちにコツはない。人差し指と中指でひたすらAボタンとBボタンを10秒間、交互に叩くだけ。ほとんど無酸素運動である。息を止めて、一気に叩く。2、3回慣らし連射をした後で、記録に挑む。その10秒間はオリンピックの100メートル走並の緊張感である。

 シュウォッチを再開してから1ヶ月ほどして、私は166回という記録を樹立した。一秒間に16・6回。高橋名人も超えた。だから、ピアノ打ち世界記録は166回(16・6連射)と認定した。

 それからさらに10年。いまだに記録は破られていない。166回以上を出した方がいたら教えて下さい。タイトルを譲ります(笑)。