田沢問題

新日本石油の田沢投手がメジャー希望を表明し、日本球界に波紋を呼んでいる。ドラフト1位級の選手が日本球界を経由しないでメジャーリーグに挑戦したのは、過去に多田野(現日ハム)だけ。ただし、多田野の場合は、あるトラブルのせいで指名を決めていた球団が回避し、活躍の場を失ったために「仕方なく」渡米したと言える。今回の田沢は、日本のドラフトを無視する形でメジャーを目指そうとしているために、問題になっているわけだ。

だが、あまり後ろ向きに考えるべきではない。田沢をめぐるニュースを見ていて、6年前に話題になったある選手を思い出した。

シュラメックが合格 レッズのドラフト1位

 オリックスは23日、ことしの米大リーグのドラフトでレッズに1巡目(全体の40番目)で指名されながらオリックスの入団テストを受けていたマーク・シュラメック内野手(22)=テキサス大サンアントニオ校=の合格を決めた。即戦力ではないが、潜在能力を高く評価しており、岡添球団社長は「(契約条件が)レッズを下回るようでは彼のチャレンジ精神も鈍る。前向きにオファーしてみる」と、獲得に積極的な考えを示した。
2002/07/23 10:53 【共同通信

このときオリックスがシュラメックを獲得していれば、日米のアマ選手をめぐる事情も変わったかもしれない。オリックスが9年契約を示したために、シュラメックはオファーを拒否したといわれている。

この一件は、日米でお互いのアマ選手を取り合ったとしても、日本側が必ずしも不利ではないことを示しているのではないかと思った。アメリカの場合、メジャーに昇格するまでは給料も安く、プレー環境も過酷である。それに対して、日本の二軍は比較的恵まれているからだ。日本人メジャーリーガも毎年のように誕生しており、日本の育成システムの実績も十分だ。ただ、シュラメックの例でも分かるように、最終的にはメジャー入りを目指す選手を獲るには、契約年数を短期で区切らなければならないだろうが。

ところで、このシュラメック選手がその後どうなったのか不明である。