首相支配は一代かぎり?

 参院選以降の「逆転国会」、安倍首相の辞任表明でさらに流動化しそうな政局。そんな現在の政治状況を把握しようと「首相支配」(竹中治堅)という2006年発行の新書本を読んでいる。この本で指摘されている日本政治の変貌は小泉政権一代限りのものだったのか。それが知りたくて、積ん読状態だった本書を取り出してきた。この本は日本政治をめぐる5つの変化を挙げ、細川政権にまで遡って解説していく内容。5つの変化とは以下のようなものだ。

  1. 自民党民主党が競い合う2大政党制の実現
  2. 首相就任の条件として「人気」(世論からの支持)が重要要素に
  3. 首相の権力が強化
  4. 行政改革で1府12省庁制に
  5. 参院議員の影響力高まる

 この中で、3の「首相の権力が強化」の部分が気になる。次期自民党総裁(=首相)の有力候補として急浮上した福田康夫官房長官の擁立をめぐり、「派閥復活」の声が挙る。すでに安倍改造内閣でも派閥の領袖クラスを入閣させる動きがあったし、小泉前首相が組閣を自由自在にやったような手法はもうできないかもしれない。

 小泉政権が実現した「首相支配」というスタイルはどうなってしまうのか。強力なリーダーシップが改革の実行には必要なのではなかったか。それとも「独裁」的手法は結局、日本にはなじまないということなのだろうか。

首相支配-日本政治の変貌 (中公新書)

首相支配-日本政治の変貌 (中公新書)